回復を助けるグループセラピー
ギャンブル依存症から回復させる為に効果的なのはグループセラピーです。
同じ様な立場にある人、経験を持つ人達とのミーティングを重ねていくのが最も手軽で最も多く取られている手段です。早い段階では治療を受けることを拒んでいた依存症者でも、「もう駄目だ」と自分で底つき体験をすれば、ミーティングに参加することに抵抗がなくなります。
回復の為の最初のステップは、「自分はギャンブルをやめられないのだ」と、しっかりと認識することです。
「ギャンブルをやめたいのにやめられない」という状況は一般の人には理解しにくいことですが、当事者にとってもそれは同じです。依存症者自身も、やめようと思えばいつでもやめられるつもりでいるので、その意識をまず改める必要があります。
自助グループで同じ様な状況にある人達とミーティングをしていけば、自分ではやめられなくなっていた状況を理解しやすくなります。
自分が依存症者だと自覚していない人が家族から厳しく言われたりすると、「うるさい!」となりがちですが、自分も周りの人達も依存症者なのだと共感が生まれると回復が早まります。
そうなった所でようやくスタート地点とに立てるのです。
その段階で改めて、「では、どのようにやめるのか?」「一緒にやっていこう」となり、回復プログラムに取り組むことができるようになります。
回復への「12ステッププログラム」
自助グループでは「12ステッププログラム」というものが用いられています。
これは、アルコール依存症、薬物依存症、ギャンブル依存症と様々な自助グループで共通して使われているもので、依存症に対して問題を解決するための基本的な道筋として世界中で多くの人達を救っています。
以下がその12ステッププログラムの項目となります。
- 私たちはアルコールに対し無力であり、思い通りに生きていけなくなっていたことを認めた。
- 自分達を超えた大きな力が、私たちを健康な心に戻してくれると信じるようになった。
- 私たちの意思と生き方を、自分なりに理解した神の配慮に委ねる決心をした。
- 恐れずに、徹底して、自分自身の棚卸を行い、それを表に作った。
- 神に対し、自分に対し、そしてもう1人の人に対して、自分の過ちの本質をありのままに認めた。
- こうした性格上の欠点全部を、神に取り除いてもらう準備が全て整った。
- 私たちの短所を取り除いてくださいと、謙虚に神に求めた。
- 私たちが傷付けた全ての人の表を作り、その人たち全員に進んで埋め合わせをしようとする気持ちになった。
- その人たちや他の人を傷つけない限り、機会あるたびに、その人たちに直接埋め合わせをした。
- 自分自身の棚卸を続け、間違った時は直ちにそれを認めた。
- 祈りと黙想を通して、自分なりに理解した神との意識的な触れ合いを深め、神の意思を知ることと、それを実践する力だけを求めた。
- これらのステップを経た結果、私たちは霊的に目覚め、このメッセージをアルコホーリクに伝え、そして私たちの全てのことにこの原理を実行しようと努力した。
なにか宗教的な印象を受けるかもしれませんが、12ステッププログラムは宗教ではありません。どんな宗教観を持った人でも無宗教の人でも、このプログラムはマッチすると言われていて、ステップ1の「アルコール」と言う部分を「ギャンブル」や「薬物」に入れ替えて使います。
ここで順序立てて行おうとしているのは、自分とギャンブルとの関わり方を見直し、自分自身を傷付けていた部分を修復していく作業です。
これまでの考え方と生き方を見直し、生きづらい考え方や生き方を変えていくことで、日常のストレスにうまく対応できるようになっていきます。
専門家の指導は必要なく、このプログラムによって回復への道がひらけた仲間から仲間へと手渡しするように伝えていけます。その為治療にお金は掛からず、生涯続けられることがなによりの利点です。